「女1」   さつきサマ
今は春。
一行は、四魂のカケラを探す旅の途中、とある村に泊まっている。
いつもの通り弥勒の「嘘」で、このあたりで一番裕福そうな宿に泊まれることになった。
珊瑚 「法師様って、法師なんでしょ一応。こんなこと毎度毎度やってて、仏様から怒られるんじゃないの?」
弥勒 「おぉ!珊瑚はそんなに私の身を案じてくれて―――」
珊瑚 「うるさい。」
普段の会話である。

かごめ「ねぇみんな、お祭り、行かない??」
七宝 「祭り?この村であるのか?」
かごめ「そうなのよ。今はみんな、用意で忙しいみたいだけど。」
珊瑚 「へぇ〜。あたし、行きたいな。久しぶりだから、祭りなんて。」
珊瑚が自分の希望を皆に伝えることは滅多にない。
そこでみんな、素直に了承。
夕暮れ時に、またここで落ち合う約束をして、解散した。
かごめは七宝と雲母を連れて近くの川原へ。
弥勒はいつものように村の女たちのもとへ。
犬夜叉は、どこか森の中へ。
珊瑚は・・・・
珊瑚 (はぁ・・・あたし、どこ行こう。毎日法師様を怒りに行くの、疲れるんだよね。
     たまには一人で・・・・あ、そうだ。あそこの桜の木。あそこで休もうかな。)
珊瑚が目指すは村のはずれの大きな桜の木。
この村に着てから、珊瑚はとてもその木が気に入っていた。
珊瑚 (退治屋の里にも、あんな木があったんだよね・・・)

ゆっくりと歩きながら、珊瑚は桜のほうへ歩を進める。
珊瑚 (見えた!)
大きな大きな木。だけど、なにか切なさを感じるのはなぜだろう。

珊瑚は桜の木に手を当てて、考えた。
すぐに散っちゃうんだよね。みんな、離れ離れに・・・・・
そう思うと悲しくなった。
そして、桜の木にもたれて、村人が祭の用意をしているのを黙ってみていた。

しばらくすると、
男  「よぉ姉ちゃん。俺とどっかいかねぇ?」
いかにも助平そうな大男が近づいてきた。
珊瑚 「遠慮しとくよ。」
男  「あんたみたいな別嬪さん、他の男にゃもったいねぇ。俺の嫁になれ。」
珊瑚 「ふざけんな。誰がおまえなんかの嫁になるか。」
あくまでも平静を装うが、心の中は焦っている。
・・・よ、嫁になれだと?あたし、そんなこと、面と向かって言われたことないよ・・・・・
男  「なんだ。文句あんのか?」
珊瑚 「大有りだよ。じゃあね、あたし、もう帰るから。待ってる仲間がいるんでね。」
男  「おまえ、【葵屋】に泊まっている変な連中の仲間だろう。」
珊瑚 「!?なぜ知っている。」
男  「バカが。ここらでは有名だぜ?赤い衣羽織ったヤツに、変な着物の女。助平の法師にガキとネコ。
    あとはとびきり別嬪な姉さん。」
珊瑚 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
男  「その仲間とやらは、おまえのことを必要としているのか?」
珊瑚 「な゛っ」
男  「おまえなんか、頼りにならんだろう。」
珊瑚 「そんなことは・・・・ない・・・・(そう・・・なのか・・・?)
男  「どうせ捨てられるんなら、俺ンとこきな。俺には100人の仲間がいる。
    ちょっと口笛を吹けばみんな集まるぜ。どうだ、やってやろうか。」
珊瑚 「いらないよ。早く帰らしてよ。遅かったら迎えにくるんだ。」
男  「ほぉ。じゃあそいつをぶっ殺してやる。おまえの信用している仲間が、どれだけ弱いか見てな。」
珊瑚 「悪いけど、あたしの仲間はあんたみたいな下衆なヤツに殺られるほど弱くはないんでね。やめときな。」
男はキレたらしい。
顔が耳まで赤くなり、鼻息が荒くなった。
男  「誰が下衆だ!このアマ!」
男は珊瑚の首をつかみ、持ち上げた。
珊瑚 「か・・・は・・・(苦しい・・・)」
なにしろ身長2mほどの巨体。
珊瑚のような軽い体を片手で持ち上げるのはいとも簡単だ。
珊瑚は細い手で必死に男の手の力を弱めようとするが、ピクリとも動かない。
それならば、と、足で男の腹を思い切り蹴る。
男  「って!あにしやがるこのアマ!殺されてぇのか!」
さらに男は珊瑚の首にもう片方の手もつけ、締め上げる。
珊瑚 「・・・っかは・・・・・あ・・・」
男  「泣け、叫べ、俺を下衆呼ばわりしたことを後悔しろ!」
珊瑚の瞳からは涙がこぼれていた。
だが次の瞬間、珊瑚の涙は安心の涙に変わった。
犬夜叉「おまえは誰が見たって下衆だよ!珊瑚を放せ!」
ボコッ
犬夜叉は男の顔をこぶしで殴りとばした。
男 「はぅっ!!」
珊瑚はその場に崩れ落ちる。
犬夜叉「珊瑚!無事か!」
珊瑚 「ハァッハァッハァ・・・・ん・・・ハァッハァッハァ・・・・大丈・・・夫・・・」
犬夜叉「バカヤロウ!一人で歩くんじゃねー!」
珊瑚 「だ、大丈夫だよ・・・」
犬夜叉「いま危ねーめにあって、まだ大丈夫って言うのか!泣いてるじゃねーか!おまえだって女だろ!!」
珊瑚 「?!」
男  「ガキがぁ!」
突然男が目を覚まし、木の棒を持って襲い掛かってきた。
珊瑚 「犬夜叉後ろ!」
犬夜叉「あん?」
ボコッ
またも男は犬夜叉に殴り飛ばされ、元の位置に。
男  「く、クソ!ふん、いくら強かろうと、100人相手にゃ勝てまい。それ!」
ピー―――――――――――――――――――――――!!!
犬・珊「?!」
男達「わ゛〜〜〜〜〜っ」
犬夜叉「な、なんだ?なんでこんなに・・・」
男  「はっはっは。驚いたか!こいつらはみんな、俺の仲間―――」
ボコッ
犬夜叉「るせー!おまえは寝てろ!」
A  「親方!てっめぇ〜」
B  「覚悟しやがれ赤服!」
犬夜叉「ちっ量が多すぎる。珊瑚、おまえには指一本触れさせねぇ。おまえは俺が守る!」
珊瑚 「えっ?///」
犬夜叉「行くぞぉ!」
C  「ゴラァ〜〜!!はうっ!」
D  「だぁ〜!あぅっ!」
E  「オリャ〜っ!ひぇ!」
こんな調子で犬夜叉は100人、ぶったおしてしまった。
犬夜叉「はぁっはぁっはぁ・・・・大丈夫か?珊瑚・・・」
珊瑚 「い、犬夜叉こそ・・・・・」
犬夜叉「けっ俺は・・・っぃて!」
珊瑚 「ヤダ犬夜叉!怪我してるじゃない!」
犬夜叉は右手をやられていた。
かなり出血が多い。
犬夜叉「こんなもん、かすり傷でぃ・・・」
珊瑚 「早く手当てしなきゃ・・・」
犬夜叉「おまえ・・・」
珊瑚 「ん?なに?」
犬夜叉「首に、手形ついてっぞ。」
珊瑚 「え?あ?ホントだ・・・どうしよう・・・」
珊瑚の首には、男に締め上げられた痕が痛々しく残っている。
犬夜叉「ったく弥勒の野郎!珊瑚が危なかったってのに、どこほっつき歩いてんだ!」
珊瑚 「また・・・女のとこ・・・」
犬夜叉「だろうな。・・・ホラ、とっとと戻るぞ!」
珊瑚 「そういえば犬夜叉、なんで来たの?森に行ってたはずじゃ・・・」
犬夜叉「腹が減ったんでぃ!」
珊瑚 「かごめちゃんは?」
犬夜叉「おぉ、雲母借りて向こうに帰った。なんか、「じーちゃん」の誕生日だったのを忘れてたんだとよっ」
珊瑚 「ふぅん・・・(かごめちゃんには、必要としてくれる人がいっぱいいるんだよね・・・)」
犬夜叉「ほらさっさと乗れ!腹減った!」
珊瑚 「あ、あぁ。頼むよ。」

そして珊瑚は犬夜叉の背に乗り、宿に帰っていった。
一行が泊まった宿は、見た目はきれいで裕福そうであるが、中はとてもみすぼらしく、
「宿を貸すだけ」ということで、調理場は用意されているが、全て自分たちでしなければならないのだった。
犬夜叉「ったく。弥勒のヤツ、失敗しやがって。」
珊瑚 「たまにはいいんじゃない?(あ、あれ?なんか変・・・)」
このとき珊瑚は、自分の体の異変に気づいたのだった。
あとがき
続きま〜す!
また犬珊です!
今回弥勒サマはあんまり登場しませんね。
このごろ犬夜叉珊瑚ちゃんにやさしぃvvv
LOVEですLOVE!

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「女2」   さつきサマ
珊瑚 (のどが・・・おかしい?・・・気のせいだよね・・・)
犬夜叉「おい珊瑚!何作ってくれんだよ!」
珊瑚 「え?あ、う〜〜んと・・・なにがいい?」
犬夜叉「・・・・・・・シチュー・・・」
珊瑚 「分かった。でも、口に合わなくても文句言わないでよ!」
犬夜叉「言うかよ!おまえ、料理上手いだろうが。」
珊瑚 「そんなこともないけどね。」
犬夜叉「よし、着いたぞ。とりあえずさっさと作れよ!腹減ってんだからな!」
珊瑚 「あんたね、それが人にモノを頼む態度??」
犬夜叉「けっ俺は水汲んできてやるよ!」
珊瑚 「はいはい・・・(いってらっしゃい・・・あれ??なんで?声が出ない!犬夜叉!待って!ヤダ・・・)」
珊瑚は声が出なくなっていた。
さきほど男にのどを思い切り締められたため、痛めたらしい。
たったそれだけのことなのだが、珊瑚はなぜかとてつもなく寂しかった。
珊瑚 (ヤダ、どうしよ・・・あたし、声でないよ・・・みんなに置いてかれるよ・・・イヤ・・・)
みんなに置いていかれる・・・そう考えただけで涙が出た。
先ほど大男に言われたこともあって、余計に苦しかった。
珊瑚 (犬夜叉、早く戻ってきて!)

男  「よぉ!」
珊瑚 (なっ・・・さっきの男・・・)
男  「さっきの借り、返しに来たゼ!」
珊瑚 (犬夜叉が出て行ってから来たくせに。)
口に出したいのだが、声が出ない。
珊瑚には男を睨むことしかできない。
男  「なんだよ、もっと歓迎の目で見な。ほら、こっちへこい!」
珊瑚 (だれが・・・ちっ声が出ないとやりにくいね・・・)
男  「ホラ!さっさとこい、このアマ!」
無理矢理男に腕をつかまれ、壁にたたきつけられる。
珊瑚 (くっ・・・・)
男  「ん?なんだ?声が出ねぇのか。へっ・・・さっきの首絞め、効いたらしいな。」
珊瑚 (うるさい!放せ!)
男  「は?なんて言った?聞こえねぇな。野郎ども!」
男たち「おぅ!」
男達は珊瑚の手足を縄で縛り、壁に吊り上げた。
珊瑚 (何を・・・・)
今の珊瑚の状態は、両手を高く上げ、足はひとつに括られていて動けない。
それに足も地面につかないので身動きのしようがない。
男  「さぁ、さっきの続きだ。おまえの連れは、しばらく入ってこれねーゼ。
    俺の仲間を200人外に置いてあるからな・・・」
珊瑚 (チクショウ・・・)
男は珊瑚の首に手を伸ばし、先ほどよりキツイ力で締め上げる。
珊瑚 (か・・・は・・・犬夜叉・・・・・・・・・・・)
珊瑚の目からは大粒の涙がこぼれ、男はさぞかし嬉しそうに笑う。
男  「は〜っはっはっは・・・俺様にたてつくからよ。女は静かに男に遊ばれてりゃいぃんだ。」

犬夜叉「ちっ何人いやがる!待ってろ珊瑚!」
水汲みから戻ってきた犬夜叉は焦った。
宿の珊瑚がいる部屋に、200人もの男どもが群がっているのだった。

さすがの犬夜叉にも、200人はキツイようだ。
一人一人殴っていき、とうとう片付けた。
犬夜叉「はぁ・・・今行く珊瑚!!!!」

珊瑚は気を失う寸前だった。
珊瑚 (もう・・・ダメ・・・・・・・・・・)
男   「がはははは・・・くたばれ女ぁ・・・」
犬夜叉「珊瑚ぉ!!!」
珊瑚 (いぬ・・・やしゃ・・・・)
犬夜叉は男の腹を殴り、その場にいた数名の仲間どもの上に投げ飛ばした。
男&男達「はうっ・・・・・・」
犬夜叉「珊瑚!」
犬夜叉は急いで縛られていた縄を解き、珊瑚を助けた。
珊瑚 「コホッコホッコホ・・・(アリガト犬夜叉・・・でもあたし、声でない・・・)」
犬夜叉「なんで一人で戦った!俺を呼ばなかった!いくらなんでもこの人数じゃ・・・」
珊瑚の目に涙が光る。
見ると何か言っているらしい。
口の動きだけで読み取る。
【こ・え・が・で・な・い・】
犬夜叉「声が・・・出ないのか・・・?」
珊瑚はうなずく。
珊瑚 (わかってもらえた・・・それだけで嬉しい・・・)
犬夜叉「チクショウ・・・俺が水汲みになんか行かなかったら・・・」
自分を責める犬夜叉。
野盗たちはいつの間にか消えていた。
そんな犬夜叉の頭に、珊瑚はやさしく手を乗せた。
そして、なにか言った。
【いぬやしゃがきてくれて、うれしかったよ】
犬夜叉「珊瑚・・・・・」
珊瑚はまたうなずいた。
犬夜叉「ちょっと待ってろ。宿の大家に言って、のどに貼る湿布かなんかもらってくる。
     その痕見てると俺が・・・」
珊瑚 (いや、行かないで・・・)
珊瑚は犬夜叉の衣をつかむ。
犬夜叉「!?・・・わぁったよ、どこにもいかねぇ。だから安心しな。」
珊瑚 (ありがと・・・・)
珊瑚は途方にくれる。
珊瑚 (このまま声が戻らなかったらどうしよう・・・)
この気持ちは、顔に出ていたらしい。
犬夜叉「大丈夫。すぐ戻る。たぶんだけどな・・・」
珊瑚 (はぁ・・・)
犬夜叉「無理・・・すんなよ・・・」
珊瑚 (?)
犬夜叉「おまえも・・・女なんだから・・・」
珊瑚 (嘘・・・女扱いしてないくせに・・・・)
犬夜叉「あ?なんだ、不満か?」
珊瑚 (だってさ・・・・・)
犬夜叉「ったく、やりにくいな・・・」
珊瑚 (あたしのほうがもっとやりにくいよ・・・)
犬夜叉「あっそーだ。」
珊瑚 (なっなにイキナリ・・・)
犬夜叉「声が出ねぇときは、のどを暖めるんだった。」
珊瑚 【ホント?】
犬夜叉「バカヤロウ!嘘言って何の得になるってんだよっ」
珊瑚 【それもそうだね・・・】
犬夜叉「けどよ、どうやって暖めりゃいいんだ?」
珊瑚 【あんたねー・・・】
犬夜叉「しゃーねーな。湯、沸かせ。手ぬぐい突っ込んで、のどに当てときゃどーにかなるだろ。」
珊瑚 【いいかげんだね。】
そして珊瑚は、静かに湯を沸かした。
といっても、声が出ないのだから静かなのはしょうがないのだが。
珊瑚 【できたよ】
犬夜叉「よし。」
犬夜叉はかごめが置いていった、[ハンカチ]というらしい手ぬぐいを湯の中に落とした。
そして、それをすぐに取り出そうとするのだが、
犬夜叉「あちっ」
珊瑚 【バカ、当たり前でしょ!】
犬夜叉「てめぇ今、バカって言っただろ!」
珊瑚 【言ったよバカ!ホラ早く冷やしてきな!腫れるよ!】
犬夜叉「けっ・・・」
犬夜叉は外に出て行った。
珊瑚 (あ・・・・・一人になっちゃった・・・・怖い・・・・)
珊瑚は、犬夜叉がとってくれた手ぬぐいを、そっとのどに当てる。
珊瑚 (もうあんまり熱くない。)
たったそれだけなのだが、なぜかとっても楽になっていく気がした。
珊瑚 (なんか、声でそう・・・あ・・・・まだダメか・・・)
そのとき。
弥勒 「ただいま・・・珊瑚?おまえ、一人か??」
珊瑚 (法師様・・・どうしよ、声でないから喋れない。)
弥勒 「?!おまえ、首、どうしたんだ!」
弥勒は珊瑚の首の痕を見て叫んだ。
珊瑚 (?!忘れてた・・・)
弥勒 「犬夜叉にやられたのか?」
珊瑚 (ち、ちがうよ・・・・)
弥勒 「?なにか言いなさい。ホントなのですね?」
珊瑚 (だから、ちがうって・・・)
暗いので、弥勒には口の動きが見えないらしい。
犬夜叉「ったくあちぃな・・・珊瑚、のど、ましになったか?って弥勒!」
弥勒 「おまえ、珊瑚になんていうことを・・・・」
冷ややかな目で犬夜叉を睨みつける。
犬夜叉「なっおまえ、なに言ってんだよ!」
弥勒 「珊瑚の首の痕、あれはおまえがやったのではないのか?」
犬夜叉「ち、ちが・・・珊瑚!」
珊瑚 【犬夜叉・・・・】
犬夜叉「まだ声が・・・・・・・」
弥勒 「言い訳は無用です!」
弥勒は錫杖を手にして、犬夜叉に殴りかかる。
弥勒 「おまえが珊瑚に手を出すなんて・・・」
犬夜叉「だから、違うっつってんだろ!あれは・・・」
弥勒 「覚悟!」
弥勒は犬夜叉を追い詰める。
犬夜叉「クソっ・・・」
弥勒 「はぁ!」
錫杖が犬夜叉に当たる直前、
珊瑚 「止めてぇ!!!」
弥・犬「珊瑚・・・」
珊瑚 「ちがうの・・・犬夜叉じゃない・・・・わかって・・・・法師様・・・・」
声が出た。
だがまだ、本調子ではないらしい。
声が小さくかすれている。
弥勒 「?!!!どういうことだ?」
珊瑚 「さっき、変な男・・・・ケホッヶホ・・・・」
犬夜叉「珊瑚!もういい、あとは俺が言うから・・・・・・・・・
     聞けよ弥勒!おまえがいない間に、珊瑚は野盗に襲われた。
     首を絞められて、のどのなにかを痛めたらしい。
     それで今は、声が出にくいんだ。わかったか?」
弥勒 「そ、そうだったのですか・・・・すまない犬夜叉・・・」
犬夜叉「俺はいい。珊瑚に謝れ。」
珊瑚は泣いていた。
自分の言葉が通じなかった。
それで、犬夜叉を危険な目に・・・
もうここにいられない・・・声が出るまで・・・
珊瑚の声はまた出なくなっていた。
無理矢理大きい声を出したのだから当たり前だ。
弥勒は珊瑚の傍に寄り、肩を抱いた。
弥勒 「すまない珊瑚。おまえの言葉、聞いてやれなかった・・・」
珊瑚 【ほうしさま・・・・・・・あたし、どうしたらいい?】
今度はわかったらしい。
弥勒 「どうすればって・・・とにかく治すしかないでしょう。」
珊瑚 (そうじゃなくて・・・・・)
    【声が出ないあたしなんて、ただの邪魔でしょ?】
弥勒 「?そんなことあるわけないじゃないか。」
犬夜叉「おまえがいなきゃ、奈落にゃ勝てねぇよ。」
珊瑚の声が、また出るようになった。
珊瑚 「あたしより強い人が仲間になったら、あたしはもう必要ないよね・・・」
犬・弥「?!」
弥勒 「何を言っている・・・」
珊瑚 「あたしはもう、どこにも居場所がない。ここには戦力としているんだし・・・」
犬夜叉「ば、バッキャロ!」
珊瑚 「?!」
犬夜叉「おまえは、戦力としてここにいるんじゃねぇ。仲間としているんだ。
     おまえが笑えば、みんなが笑う。一人の女としてここにいるんだよ!」
珊瑚 「?!・・・・・・・・・・・・ホント?」
犬夜叉「だから、おまえは疑り深いやつだな!」
珊瑚 「ゴメン・・・じゃああたし、ここに居ていいの??」
弥勒 「当然です。おまえの居場所はここですから。」
ポロッポロ・・・
珊瑚は泣いた。
一人の女・・・
嬉しかった。
自分の居場所はここだ。
他にはない。
みんなが一緒にいてくれる。
ここしかない。
あとがき
犬夜叉くん、いいこと言いますねー。
珊瑚ちゃんはいつも、女扱いされていないような気がしたので、この小説を書きました。
十分女の子っぽいんですけどねー。

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