「結婚のご報告」   さつきサマ
かごめ「だいぶ涼しくなってきたわねー。」
弥勒 「もう秋ですから。紅葉がキレイですなぁ。」
珊瑚 「ホント。あ、見て、あれ。銀杏の木だよね。もう黄色いねー。」
かごめ「うわぁ〜。ね、今日はどこで泊まるの?久しぶりに温泉入りた〜い。」
犬夜叉「あぁ?野宿に決まってんだろ?!」
かごめ「いやよ!あ〜もぉ!せっかくのいい気分が台無しだわ。犬夜叉、おすわり!」
ダンッ
犬夜叉「ふぎゃっ!かごめ・・・てめぇ・・」
珊瑚 「毎度毎度・・・あ、村だよ。今日はあそこに決定だね。」
弥勒 「そうしましょう。では、交渉に。」
七宝 「また嘘を吐くのか?」
弥勒 「・・・・・・・・・嘘も方便です。」
七宝 「いいのか?それで。」
弥勒 「・・・・・・・・・いいのです。」
珊瑚 「なにがいいんだ・・・・っ!亮【りょう】!ゴメン、みんな、先行ってて。すぐ戻るから!」
珊瑚は皆の返事も聞かぬまま、走っていってしまった。
珊瑚の視線を追ってみると、そこには一人の男が。
一行は珊瑚が男に近づく様子をじっと見ていた。
弥勒 「な゛っ・・・」
弥勒の顔が引きつる。
珊瑚が男に飛びついたのだった。
男は軽々と珊瑚を受け止め、抱きしめた。
弥勒 「・・・・・みなさん、行きましょう・・・」
かごめ「え、あ、いいの?弥勒様・・・」
弥勒 「本人はすぐ戻ると言っていましたので。」
七宝 「おぉ!さすがは弥勒じゃ!珊瑚を信じるのじゃな!」
弥勒 「・・・・・・・もちろんです。」
犬夜叉「今の間はなんだ、今の間は。」

ところでこちらは。
珊瑚 「亮、生きてたんだね!」
珊瑚は満面の笑みを浮かべた。
亮  「おまえこそ・・・この間、里に戻ってみたら、里は滅びていた・・・
    みんな、あの墓に入ってしまったのか・・?」
珊瑚 「・・・・・・・ぅん・・今生きてるのは、あたしだけなんだ・・・」
珊瑚の顔が曇る。
亮  「そう・・か・・・・・だが、おまえだけでも生きていてよかった・・・
    おまえ、また女らしくなったんじゃないか?」
亮は珊瑚の体をじろじろと眺めた。
珊瑚 「やだ、亮。やめてよ。」
珊瑚は顔を紅くする。
亮  「なんかおまえ、あんまり寂しそうじゃないな。」
珊瑚 「うん。大事な仲間ができたからね。」
珊瑚が笑った。
亮  「そうか。よかったな・・・」
亮も笑みをこぼす。
亮  「ところでだな・・・・・」

かごめ「珊瑚ちゃん、遅いわねー。弥勒様、ちょっと見に行ってきたら?」
弥勒 「・・・・・・・・」
かごめ「はぁ・・・(意地っ張りなんだから。本当は心配なくせに。)」
犬夜叉「おぃ。昼飯だってよ。」
犬夜叉が、ドカドカと部屋に入ってきて言った。
2、3人の女が、部屋に昼飯を運んできた。
なかなか美味しそうである。
しかも結構な量。
ゴハンは大きな釜に入っている。
かごめ「きゃ〜っおいしそ〜v珊瑚ちゃん、まだかしらー。」
犬夜叉「冷めちまうぞ。」
かごめ「う〜ん、そうねー。先に頂いとこうかしら。」
弥勒 「そうですね。」
七宝 「いっただっきま〜す!・・・旨い!旨いぞかごめぇ!」
かごめ「あらホント。久しぶりだわ〜。あとは温泉温泉!」
かごめはすっかり浮かれている。
そのとき、珊瑚戸が大きく開いた。
ガラッ
珊瑚 「ただいまっ。」
かごめ「珊瑚ちゃん、おかえりなさい。先に頂いちゃってるわ。」
珊瑚 「あぁ、うん。気にしないで。」
弥勒 「珊瑚。」
珊瑚 「なに?」
弥勒 「さっきの方はだれだ?」
珊瑚 「あぁ、あたしのいとこで、亮っていうんだ。今度、結婚するんだ。」
珊瑚はとても嬉しそうに言った。
弥勒 「な・・・」
七宝 「の、のぅ珊瑚。早く食わんと冷めてしまうぞ。」
珊瑚 「あ、あたしはいいよ。向こうで食べることになってるからさ。犬夜叉、食べといて。」
犬夜叉「お、おぅ。」
珊瑚 「あぁ、そうだ。かごめちゃん、このご飯、もらっていいかな。」
珊瑚は釜に入っている大量のご飯を指差した。
かごめ「い、いいけど・・・」
珊瑚 「アリガト。あと、あの、【らっぷ】とかいうやつももらえるかな?」
かごめ「あ、うん・・・・・はい・・」
かごめはリュックからラップを取り出し、珊瑚に渡した。
珊瑚は馴れた手つきでおにぎりを作ってゆく。
珊瑚 「よし。こんなもんかな。」
かごめ「あの・・珊瑚ちゃん?また行くの?」
珊瑚 「え、あ、うん。ゴメンね。式の準備、やらなきゃいけないからさ。
    晩飯も、向こうで食べてくるよ。じゃね。」
珊瑚はとても嬉しそうだ。
こんなに嬉しそうな珊瑚を見たのは、初めてかもしれない。
だからこそ、皆相当なショックを受けた。
珊瑚は出て行ってしまった。

かごめ「珊瑚ちゃん・・・。いいの!?弥勒様!」
弥勒 「なにがです。」
かごめ「珊瑚ちゃん、結婚しちゃうのよ!?あの亮とかいう男の人に、とられちゃうのよ!」
弥勒 「それが珊瑚にとって、幸せなら、私は何も言いません。」
かごめ「そんな・・・・」
犬夜叉「ま、しゃぁねぇだろ。普段大人しい珊瑚の、あの飛びつき様。あれはただのいとこ関係じゃねーぞ。」
かごめ「ちょっと犬夜叉!」
七宝 「かごめ、犬夜叉。食わんと冷めるぞ。」

珊瑚 「おまたせ〜!」
亮  「珊瑚か。ん?なんだそれは。握り飯か?」
珊瑚 「あ、うん。食べる?お腹減ってるかなって思って。」
亮  「あぁ。・・・・おまえ、相変わらず料理上手いな。」
珊瑚 「そう?みんなと旅するようになってから、前にも増して作るようになったから、
    またちょっと腕上がったかな?」
珊瑚はちょっと笑った。
亮  「そうか。楽しそうだな。」
珊瑚 「うん。」
亮  「さ、やるぞ!今日はとことん手伝ってもらうからな。」
珊瑚 「覚悟はできてるよ。」


珊瑚 「ただいまぁ〜あーー疲れたぁ・・・」
珊瑚は夕食の終わりごろに帰ってきた。
かごめ「さ、珊瑚ちゃん・・・ご飯、食べる・・・?」
珊瑚 「遠慮しとくよ・・・先、お風呂入るね・・・」
珊瑚は着替えを持って出て行った。
かごめ「珊瑚ちゃん、なんか疲れてたわね・・・」
七宝 「何をしてきたんじゃ。」
犬夜叉「式の準備だろ?」
かごめ「それだけで、あんなに疲れると思う?」
七宝 「あほじゃ。」
バキッ
七宝 「うわ〜んっ」
かごめ「犬夜叉、おすわり。」
犬夜叉「ぐぇっ」

かごめ「じゃ、もう寝るわね。おやすみ。」
二部屋借りれたので、今夜は女と男に分かれて寝ることになった。
犬夜叉「おぅ。」
珊瑚 「あ、ちょっと待って、みんな。あのね、亮が、みんなにも、式に出てもらいたいんだって。
    出てくれるかな?」
かごめ「ぇ゛。・・・・・・・・・・・」
弥勒 「出ますよ。」
かごめ「えぇ?!み、弥勒様・・・・」
珊瑚 「ありがとう。じゃ、おやすみ。」
珊瑚はるんるんと出て行った。
かごめ「弥勒様・珊瑚ちゃんのこと、諦めちゃうのね。」
かごめも流石に素直じゃない弥勒に対してイライラしてきた。
弥勒 「私には珊瑚の運命を変える資格などありませんから。」
弥勒もつんとして答える。
かごめ「珊瑚ちゃんが、カワイソウじゃない・・・・・・・・おやすみなさい。」
かごめは女子部屋に入っていった。

かごめ「珊瑚ちゃん・・・?寝ちゃったの?」
いつもなら、かごめより遅くまで起きているはずの珊瑚が、布団に入った途端に寝てしまったようだ。
かごめ「そんなに疲れてたんだ・・・」
かごめは珊瑚の本心を確かめようと思っていたのだが、失敗。

かごめ「ん・・・朝・・?」
バッ
かごめは起き上がった。
かごめ「あちゃ〜。」
案の定、珊瑚はいなかった。
かごめの第二の作戦では、珊瑚より早く起きて、本心を確かめるはずだったのだが、またも失敗。
ガラッ
服を着替えたかごめが男子部屋に入る。
かごめ「珊瑚ちゃんは?」
犬夜叉「おぅ、かごめか。珊瑚なら、早くから出て行ったぞ。
     絶対来てよ、だとよ。」
かごめ「そう・・・・・・」

正午。
珊瑚に教えてもらった場所に、一行は向かった。
そこは、大勢の人で賑わっていた。
弥勒 「・・・・・・・・」
かごめ(弥勒様、元気ない・・・そりゃそうよね、好きな人が、自分以外の人と結婚しちゃうんだもん・・)
弥勒 「かごめ様。」
かごめ「な、なに?」
なぜか弥勒がとても怖く見え、上ずった声で答える。
弥勒 「すみません、ちょっと気分が悪いので、席を外します。」
弥勒は立ち上がり、どこかへ行ってしまった。
かごめ「え?あ、ちょっと弥勒様!」
かごめは追いかけていった。
犬夜叉「おぃコラおまえら!珊瑚の晴れ舞台、みねーのかよ!おぃ!
     ・・・ったく。」
一人で見るのもなんだと思い、犬夜叉もかごめの後を追った。
七宝 「コラ待てぃ!オラもいく!」
七宝も犬夜叉にしがみついた。

珊瑚 「ぁれ?ったくもう。おっかしいな〜。ちゃんと言ったのに。
    亮、ゴメン。みんな、来てないみたい。」
亮  「そうか。なにか他に用事でもあったのだろう。ちゃんとあいさつしたかったのだが・・」
珊瑚 「そんなのいいよ。保護者じゃないんだから。」
亮  「ふ・・・・お、もうすぐ始まるぞ。」
珊瑚 「じゃ、頑張ってね。」
亮  「あぁ。」

式は始まった。
華やかな着物を着た花嫁。
いつもより数倍カッコよく見える花婿。
その場は大いに賑わい、式は終了した。

亮  「珊瑚。本当にありがとう。おまえのおかげで、式は大成功だ。
    私も、新たな一歩を、踏み出せたような気がする。本当にありがとう。」
珊瑚 「そんな・・・」
亮  「さ、おまえの仲間の所に行くぞ。」
珊瑚 「はぁ?」
亮  「あいさつだ、あいさつ。」
珊瑚 「なんでよ、もう・・・」

珊瑚 「ただいまー。なんでみんな来てくれなか・・・・ってなにかあった?」
部屋の中の空気は重く、入りがたかった。
珊瑚 「あ、あの、みんな?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
亮  「なんだ?」
亮が入ってきた。
珊瑚 「あ、えっと、この人が亮。今日、この村一番の美人と結婚したんだ。」
弥勒 「はぁ?!」
かごめ「この村一番の美人ってことは、珊瑚ちゃんじゃないの?!」
珊瑚 「へ?・・みんな、何の話してるの・・・」

亮  「はっはっはっはっはっ・・・」
珊瑚 「やだ、みんな・・・くくく・・・」
かごめ「珊瑚ちゃんが、ちゃんと言ってくれないからぁ!」
珊瑚 「ごめ・・・くくく・・・亮が結婚する相手は、あたしなんかよりもっと美人で、女らしい人だよ・・くく・・」
弥勒 「はぁ〜〜」
亮  「珊瑚。こんなにいい仲間ができてよかったじゃないか。
    みなさん、こんな娘ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。」
亮は頭を下げた。
珊瑚 「ちょ、ちょっと亮!あたしは亮の子供じゃないんだから///」
亮  「おまえは今も子供のままだよ。じゃぁな。元気でやれ。」
珊瑚 「・・・・・お嫁さん、大切にしなよ・・・」
亮  「わかってる・・・おまえも、法師様と仲良くやれよ。」
珊瑚 「な゛っ////亮!!!!」
あとがき
30分で書き上げた小説です。
ショボイです。
珊瑚の親戚って、やっぱり妖怪退治屋なのかなって思って、強そうな人にしてみました。
ダメですかね。

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