「1人じゃないんだ IV」   さつきサマ
弥勒は、珊瑚を抱きかかえたまま、楓の隣の小屋に入っていった。
犬夜叉「おいっどうしたんだ、おめぇら。」
弥勒「話はあとです。かごめ様、タオルとやらを。珊瑚の熱があがっています。」
かごめ「わかった。はい、弥勒様。で、なにがあったの?」
弥勒「はい、それが…」
弥勒は先ほどのことを、珊瑚を布団に寝かせながら伝えた。
犬夜叉「てめぇ、なんで珊瑚を一人で行かせたっ!」
いきなり立ち上がった犬夜叉に、弥勒は多少驚いた。
弥勒「す、すいません。私は、寝てしまっていたようで…」
犬夜叉「てめぇ、まさか酒飲んでたんじゃねぇだろなぁ。」
弥勒「ギクッ」
弥勒の肩が動いた。
犬夜叉「けっ熱がある珊瑚のよこで、おまえは一人で酒飲んでやがったのか。
     おめぇは珊瑚を守るんじゃなかったのかよっ」
弥勒「・・・・」
かごめ「犬夜叉っちょっと言いすぎだよっ弥勒様だって、悪気があったわけじゃないんだもの…」
犬夜叉「おまえのせいで珊瑚は…畜生っ弥勒、おまえとかごめは向こうの小屋でねろっ
     俺が…珊瑚の世話をする…」
か・弥「?!」
かごめ「な、なんでそうなるのよ。」
犬夜叉「今の弥勒と、珊瑚を一緒にしておけねぇ。」
かごめ「じゃなくて、なんであたしじゃいけないわけ?」
犬夜叉「うるせぇ、俺が決めたんだ!早く七宝連れて行けっ!」
かごめ 「・・・犬夜叉の・・・バカ!!行こっ弥勒様!」
七宝 「犬夜叉のバカもんっまたかごめを泣かせおって!」
犬夜叉「うるせ〜!おまえもさっさと行きやがれっ」

そして、楓の小屋にはかごめ、弥勒、七宝の3人が、
楓の隣の小屋には、犬夜叉と、熱を出している珊瑚が。
犬夜叉「ちっ弥勒のバカヤロウ。おまえなら大丈夫だと思って、珊瑚を任せてたっていうのに…」
珊瑚 「犬・・・夜叉・・・?」
犬夜叉「珊瑚!おきたのか。
     てめぇ、なんで、弥勒を起こさなかった。熱があるくせに、一人で行きやがって・・・」
珊瑚 「ごめん…ね…」
犬夜叉「もういい。しゃべるな。」
珊瑚 「みんなは…」
犬夜叉「楓の小屋で寝てる。俺が追い出した。」
珊瑚 「?!なん…で?」
犬夜叉「弥勒を…元のあいつに戻すため…って、もういいだろ!早く寝ろっ!」
珊瑚 「うん・・・(元の法師様に戻すため…?どういうこと?)
そして、珊瑚は、また眠った。

しばらくすると、珊瑚がうなされていることに気づいた。
犬夜叉「また…琥珀の夢か…」
犬夜叉は、かごめのタオルで、汗をぬぐってやる。
珊瑚「琥珀…琥珀…みんな・・・行か・・な・・・いで…」
犬夜叉「!?みんなって、俺たちのことか…///」
ふいに、珊瑚の目が開く。
相当嫌な夢だったらしく、息が上がっている。
犬夜叉「珊瑚!うなされてたぞ。大丈夫か??」
珊瑚は、答える代わりにうなずく。
犬夜叉「熱があるときは、水分をとれって、かごめが言ってた。これ飲め。」
っと、珊瑚に水の入ったコップを差し出す。
だが、珊瑚には、コップをもらう気力は、もはやない。
手を動かしたいらしいが、かすかにしか動かない。
珊瑚は首を横に振る。
犬夜叉 「(熱が…高いのか…)おいっちょっと、動くなよ。」
犬夜叉は、珊瑚の額に自分の額を当てる。
珊瑚 「!?!」
珊瑚がピクリと動く。いきなりの犬夜叉の行動に驚いたらしい。
犬夜叉 「熱い…とにかく、これ飲め。」
珊瑚がまたも、首をふる。
犬夜叉 「ったく、しょうがねぇなぁ。弥勒やかごめに言うんじゃねぇぞっ」
犬夜叉は、珊瑚を抱き起こす。
またも、珊瑚の肩が動く。
そのまま犬夜叉は、珊瑚の口に水を流し込む。
珊瑚 「…!?」
珊瑚は必死で口の中の水を飲み、最後の力で口を開いた。
珊瑚 「・・・苦しいじゃ・・・ないのさ・・・ケホッケホッ」
犬夜叉「んっわりぃ。ま、また寝てな。あ、ちょっとまて、おめぇ、震えてんじゃねぇか。寒いのか??」
珊瑚 「少し・・・」
犬夜叉「じゃ、これでも着てろ。ちったぁマシだろ。」
犬夜叉は、珊瑚の肩に、火鼠の衣をかけてやり、布団に寝かせた。
珊瑚 「///あ、ありがと///」
犬夜叉「気にすんな///早く治せ。」
珊瑚 「うん///」

つづく
あとがき
?なんか、犬夜叉×珊瑚になってますが///
我ながらいい感じ♪
初のあとがきです!

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「1人じゃないんだ V」   さつきサマ
楓の小屋。
かごめは泣いていた。
犬夜叉に追い出されたことが悲しいらしい。
そんなかごめの横で、オロオロと動き回っているのは七宝。
そのまた横で、うつむいているのは弥勒。
かごめ「うっ・・・ひっく・・・」
七宝 「かごめ・・・」
長い間こんな声しか聞こえてこない。
七宝 「おい、弥勒!かごめになんか言ってやったらどうじゃっ
     こんなことになったのも、元はといえばおまえが悪いんじゃっ」
弥勒 「・・・はぁ・・・」
かごめ「いいのよ、七宝ちゃん。確かに弥勒様も悪いけどね。
    犬夜叉だって、ここまですることないじゃない。
    私まで追い出さなくても・・・ひっく・・・」
七宝 「そうじゃそうじゃ、犬夜叉のヤツ、いつもはかごめが居ないと、ワーワーうるさいのに、
     かごめを追い出すとは、何を考えておるんじゃ!」
弥勒 「まぁ、私が悪いのは事実ですし、犬夜叉は、珊瑚のためを思ってこうしたんでしょう。」
かごめ「だからって、なんで私がいちゃいけないのよ。」
七宝 「まさか、犬夜叉のヤツ、珊瑚にも股をかける気じゃ・・・」
かごめ「ま、まさか・・・いくらなんでも三股なんて・・・」
七宝 「いや、わからんぞ。かごめ、桔梗、珊瑚、みんな美しいおなごじゃからの。」
弥勒 「そんなことはないでしょう。犬夜叉が見てるのは、いつもかごめ様だけですから。」
意外にも、さらっと言ってのける弥勒。
かごめ(弥勒様、なんかへん。)
    「ねぇ、弥勒様、最近、珊瑚ちゃんを捨ててない?」
弥勒 「?なんで私が珊瑚を捨てなくちゃならないのですか?」
かごめ「え?その・・・さっきだって、珊瑚ちゃんと引き離されても、けろっとしてたし。」
弥勒 「さっきの犬夜叉には、何を言っても無駄でしょうから、黙っていたんです。」
かごめ「そ、そうなの・・・(やっぱりへん。珊瑚ちゃんのこと、キライになっちゃったのかしら)」
七宝 (犬夜叉と珊瑚・・・案外いいかもしれんな・・・)
まだ幼い七宝は、弥勒の異変に気づいていないようだ。

こっちの小屋からは、楓の小屋の中の声は少しも聞こえない。
もうすぐ日が沈む。
犬夜叉(かごめのヤツ、泣いてるだろうな・・・)
珊瑚 「ハァハァ・・・・」
犬夜叉「まだ息が荒いな・・・」
犬夜叉は珊瑚の額に手を当てた。
犬夜叉「熱はだいぶ下がったな。」
珊瑚 「うっ・・・」
珊瑚が目を覚ました。
珊瑚 「犬夜叉・・・ずっと、一緒にいてくれたんだ・・・ありがと・・・」
犬夜叉「///べ、別にいいけどよ・・・それより、どうだ?少しは楽になったか?」
珊瑚 「うん・・だいぶ楽になったよ。犬夜叉、衣ありがとう」
珊瑚はゆっくりだが起き上がり、衣を脱ぐことができた。
珊瑚 「い、犬夜叉?あのさ・・・さっき、元の法師様にもどすためって・・・なんのこと?」
犬夜叉「あいつは・・・熱出して寝てるおまえの横で、酒飲んで寝てやがったんだ。」
珊瑚 「えっ?!法師様が?」
犬夜叉「あぁ。あいつ最近、おまえのことが、どうでもよくなったみてぇだ・・・」
珊瑚 「・・・・・(どういうこと?法師様、あたしのこと、嫌いになっちゃったってこと?)」
犬夜叉「かごめが前に言ってた。おまえは弥勒にとって、生きる道なんだって。
     おまえがいるから今のあいつがいる。
     その生きる道に興味がなくなったってことは、死のうとしてるってことと同じだろ。
     だからあいつがおまえに会いたくなるまで、俺はおまえとあいつを会わせねぇ」
珊瑚 「・・・・・・・・・・・・(なに、それ。生きる道?興味?)」
犬夜叉「おい、聞いてんのか?」
ポロ・・・ポロ・・・
珊瑚の目から涙がこぼれ落ちた。
珊瑚 「あたし・・・法師様に嫌われちゃったのかな?あたしだって、法師様を生きる道にして
    生きてきたんだよ?法師様があたしの前から消えちゃったら、あたし、ホントに1人に
    なっちゃうよ・・・1人は・・・怖いよ・・・」
犬夜叉はこんなことになるとは思ってなかった。
あの強い珊瑚が泣くなんて。
犬夜叉は動揺してきた。
犬夜叉「お、おい、泣くな・・・おまえは1人じゃねぇよ。かごめや七宝、俺だっている。
     それに・・・弥勒だって、すぐに元に戻る。あいつがおまえのことを嫌いになるわけねぇだろ。」

こんな2人の会話を、見ていたものが3人。そう、弥勒にかごめに七宝。
2人の様子をこっそり見に来たのだ。
弥勒は相当びっくりした。
弥勒 (俺は・・・生きる道を見失っていたのか・・・)
かごめと七宝は、犬夜叉を見直していた。
かごめ(犬夜叉が、そんなことを考えていたなんて・・・)
七宝 (ただのバカじゃなかったんじゃな・・・)
ふいに弥勒が戸を全開にした。
いままでは、隙間から見ていたのだ。
弥勒 「珊瑚!」
犬・珊「!??」
珊瑚 「法師・・様・・・」
弥勒 「珊瑚・・・」
珊瑚 「ねぇ、法師様、あたしのこと嫌いになっちゃったの?約束したよね、共に生きようって」
弥勒 「・・・・・・」
珊瑚 「法師様!なんか言ってよ・・・あたし、いるか法師様と暮らせる日を思って、いままで
    生きてきたんだよ!お願い!あたしを捨てないで!」
弥勒 「!!・・・おまえは・・・いつも、私を思ってくれているのか・・・」
珊瑚 「当たり前じゃない!あたし、法師様のこと好きだもん!」
弥勒 「すまなかった・・・私は、自分はずっと1人だと思っていた・・・
    風穴があるかぎり、私は1人なのかと・・・だから、いつもみんなと一緒にいるおまえが
    うらやましかった・・・私は、おまえに嫉妬していたんだ!」
珊瑚 「そんなこと・・・ないよ・・・あたしだって、法師様とおんなじこと考えてた・・・
     1人になるのが怖かった・・・だけど、法師様は1人じゃないよ・・あたしは・・・
     ずっと法師様と一緒だから・・・だから・・・法師様も、あたしを一人にしないで!」
弥勒 「わかった・・・約束する・・・だがおまえも約束してくれ・・・必ず奈落を倒して
    共に生きるということを。」
珊瑚 「はい///」
犬・か・七「おい!」
かごめ「あたしたちを忘れないでくれる?」
犬夜叉「てめぇらなんで、勝手に1人になってんだよっ!」
七宝 「だれが1人にすると言ったんじゃ?」
かごめ「みんな、1人じゃないよ。あたしだって、七宝ちゃんだって、犬夜叉だっている。」
犬夜叉「それに、誰が1人なんかにさせるかよ!」
七宝 「おら、ずっと一緒じゃぁ!」
弥・珊「みんな・・・」
珊瑚 「そうだよね・・・みんな・・・ありがとう・・・うっうっうっ・・・」
弥勒 「泣くな、珊瑚・・・1人じゃないんだから・・・」

そう、1人じゃない。
みんながいてくれる・・・それだけで涙が出るんだ・・・

〜END〜
あとがき
1人じゃない・・・今まで孤独と戦ってきたのは、
自分だけじゃなかった・・・
っという、珊瑚と弥勒のお話でした。
5話、バカみたいに長くなっちゃいましたぁ〜
ってゆーか、2話&3話が短すぎるんだよ!
平等ってものができないさつきでしたぁ。
ちがうお話も書きたいと思うので、それもヨロシク☆☆

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